第6回

背骨のしくみ

 

 

 

カイロ博士プロフィール

甲木寿人(かつき・ひさし)
早稲田大学卒業。2002年3月まで、早稲田大学体育局講師(非常勤)として「姿勢と健康」の講義を受け持ち、現在公開講座「生涯学習」を担当。
日本カイロプラクティックフォーラム会長を務める。

私たちの体の中心を支えている大黒柱、背骨は横から見ると「S字形」で、椎骨という短い骨が積み木細工のようにタテに積み重なって1本の柱になっています。そして、全体としてS字形をしているのです。首の部分では前方に弯曲(前弯)し、背中では後方に弯曲(後弯)、腰のあたりで再び弯曲しています。

このような背骨のS字形は、人間が二本足で立って歩くようになってできたものです。このS字形の弯曲は、軟骨である椎間板と合わせて、外部からの衝撃をやわらげる働きをしているのです。生まれたばかりの赤ちゃんの背骨は、丸いカーブを描いていて、まだS字形になっていません。だいたい12歳ごろになると、S字形の弯曲が完成すると言われます。背骨のこの弯曲は、ほかの動物にはなく、人間だけに見られる特徴です。背骨は、私たちが起きて活動している間は、どんな姿勢であっても、私たちの体重を支えていることになります。

椎骨は、ひとつながりになって重なるように上から下に並んでいますが、脊柱を構成する一つ一つの椎骨は、ごつごつした多くの骨が突き出ていて、複雑な格好をしています。体の前のほうの円柱形を「椎体」といいます。この椎体と椎体の間に「椎間板」と呼ばれる弾力性のある軟骨板が挟まっています。中は水分を含んでいて、クッションの働きをしています。椎骨の後ろのほうには、棘突起や横突起という骨のでっぱりがあります。この部分を上から見ると、椎孔が重なり合って脊注管という管が上から下に通っているのがわかります。この中に脳から連なる脊髄が入っているのです。上下の椎体の間には、椎管孔という孔があいていて、脊髄から枝分かれした神経がこの孔から分かれて出ています。

背骨のゆがみやずれがこれらの神経を圧迫すると、手足の痛みやしびれが生じるのです。
また、この椎間板がヘルニアを起こして坐骨神経を圧迫した場合は、坐骨神経が激痛となって歩けなくなることもあります。こうしたみじめな事になるのも、ある日突然なるわけではありません。長年の姿勢の悪習慣が原因でなるのです。

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