第11回

ねこ背に共通の症状1

 

 

 

カイロ博士プロフィール

甲木寿人(かつき・ひさし)
早稲田大学卒業。2002年3月まで、早稲田大学体育局講師(非常勤)として「姿勢と健康」の講義を受け持ち、現在公開講座「生涯学習」を担当。
日本カイロプラクティックフォーラム会長を務める。

健康に悪影響を与え、見た目も悪いねこ背。
大きく分けて3種類あるのは前回ご説明しましたが、
これらねこ背には、共通のある症状が現れます。

どの部分のねこ背であれ、ねこ背に共通する症状は、肩こりと首こりです。
首筋から肩にかけてのこわばった感じ、じーんとこった感じや痛みなど、肩こりのない人は少ないはずです。また、日本人にとくに多い症状です。

なぜ肩こりが起きるのか、次のような実験をしてみるとわかりやすいでしょう。
畳か床の上にあお向けに体を伸ばし、頭だけを上げてみてください。何秒続きますか?
頭というものがずいぶん重いものであることがわかるでしょう。
肩のこる人はおそらく30秒と続かないはずです。

つまり、私たちは起きているときに、5〜6kgもある頭を、脊柱と肩の筋肉でいつも支えているのです。
肩こりの起こる原因はここにあります。

自分の身長どおりの姿勢では、頭を支えているのは、大黒柱の背骨です。

試しに、頭を少し前に突き出してみてください。
うつむいた途端、首の重量を筋肉が支えることになり、次第に肩がこってくるはずです。
背中はねこ背のままで、あごだけ上げるクセがつくと、筋肉はゆるむひまがありません。
また、あごを上げたこの姿勢は頚椎に不自然な彎曲を強いて、大変な負担をかけているのです。
つまり、肩こりや首こりは僧帽筋という後頭部から肩にかけての大きな筋肉の疲労なのです。

この筋肉は、私たちが立っているときや椅子に座って仕事をしているときにも、重い頭を支えている中心的な筋肉です。
また、腕全体の重さを支え、床にある重い荷物を持ち上げるときにも使われる働き者の筋肉なのです。
ねこ背の姿勢は、こうした筋肉に通常以上の負荷をかけることになるのです。

こうした症状がさらに重くなると...
次回へ続きます。

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