「心臓突然死」の原因の1つ「心臓震盪(しんとう)」とは

 

「心臓突然死」の原因の1つ「心臓震盪(しんとう)とは
30歳以下の突然死の20%は心震盪が原因------。

日本高校野球連盟は8月から始まった甲子園大会で、球場に救命器具「自動体外式除細動器(AED)」を2台導入することを決めた。甲子園大会で心臓震盪対策が取られるのは初めて。
カイロプラクティック師は、オリンピックのチームドクターを始めスポーツ障害に深く関係しております。また、スポーツの指導をされている方、審判員の方など、スポーツに携わっていられる方も多いと思います。以下の「心臓震盪」については是非知って頂きたい情報です。
医師や運動関係者らが結集し「心臓震盪」の国内初の研究会を発足しておりますが我々カイロプラクターは胸部への衝撃が心停止を起こす「心臓震盪(しんとう)」と呼ばれる突然死について知る人は少ないと思います。日本ではまだなじみの薄い「心臓震盪」の危険性を訴えようと、医師や運動選手などの医療・スポーツ関係者が結集し,「子供のボール遊びでも、心臓震盪は起きる。適切な救命措置を普及し、死亡事故を防止したい」と発足されております。

「心臓震盪」とは胸部への打撲で、心臓の筋肉が痙攣する症状です。
米国では運動選手の死亡例も報告されています。

心臓に既往症のない健康で元気な子供の前胸部に衝撃を受けた直後、昏倒し、心停止に至ってしまいます。ラテン語で、Commotio Cordis(コモシオ・コルディス)と呼ばれ、心臓の筋肉がケイレンを起こし(心室細動)、心臓から血液を送り出すことができない状態になります。「心臓震盪」は疾病ではなく、胸郭が未発達な子供に発生する外傷性の心停止で、もともと心臓に病気が無くても発生します。

「心臓震盪」が,どんな時に発生するかについてですが・・・
 (1)子供の前胸部にボールなどが当たり、軽い衝撃を受けた時に発生します。
 (2)心臓が拍動しているリズムの中の、あるタイミングで衝撃が加わった時に発生します。
 (3)野球やソフトボールなどの球技の運動中に起こることが多い。
 (4)子供同士のボール遊びの最中でも起こることがあります。

「心臓震盪」が発生後3分以上経過すると救命が難しくなります。

 「心臓震盪」により心臓に発生した心臓のケイレン、「心室細動」を除去するのに最大かつ唯一の手段は除細動器による「電気的除細動」です。日本では、以前は、医師・救急救命士のみに除細動の実施が認められていたが、2004年7月、厚生労働省から「緊急性があり医師がいないなどの条件を満たした場合は、一般市民が除細動を実施しても医師法違反とはならない」旨の見解を示す通知が発出されました。これは、心室細動では心停止から除細動を行うまでの時間が生命予後を決定するという研究結果を踏まえたものであり、事実上、一般市民へ除細動の実施が解禁されたことになりました。法令面(ソフト面)では除細動普及の条件が整備されましたが、空港をはじめとする公共施設などへの自動体外式除細動器の設置、すなわちハード面での整備促進が遅れており、今後の課題とされております。

アメリカでは、心電図波形などの解析や充電を自動的に行う、「自動体外式除細動器(AED)」が広く普及し、一般市民の使用により「心臓震盪」に大きな効果を上げています。

一番ベストなのは、運動場や体育館はもちろん、全てのスポーツ団体が「AED」を配備することなのですが、それが実現するまでの間、もし「心臓震盪」に遭遇したら、いったいどうしたらいいのでしょうか?
残念ながら,「AED」が市民に開放されていない現在の状況下では,いち早く、119番通報し、除細動器を携帯した救急隊の到着までの間,心肺蘇生法(CPR)を実施することしか、今のところ手段はありません・・・・ですから、今は「心臓震盪を予防」することが大切です。
現在、国内の大手スポーツ用品メーカーの「MIZUNO」では、胸部を保護する運動用プロテクターを開発中です。実用化され次第,こういった防具を使用したり、野球の練習でよくやるような「1000本ノック」や子供めがけてバレーボールやバスケットボールなどをぶつけたりするような、昔ながらの過酷な練習は避けるべきです。
とかく大人達は「勝利至上主義」に陥り,「スパルタ式」を強要しますが、この「勝利至上主義の
無意味なスパルタ式指導」が「心臓震盪」を生み出す土壌になっているのではないかと言われております。

スポーツ本来の目的は、子供達が楽しく、生き生きとスポーツに打ち込み,その中から何かを見つけ出し成長していくことだと思いますし,そういう環境でスポーツに打ち込ませてあげることこそが、我々「大人」の責任なのではないでしょうか・・・・
アメリカでは2001年に128例の「心臓震盪」が発生していますが、その発生要因は、そのほとんどが18歳以下であり、小中学生に多発していますが、これは胸郭が未発達なことも要因のひとつです。

バスケットボールはルール改正により、「ミニバス」ではゴム製ボールから皮革製ボールに変わります。皮革製ボールはゴム製に比較すると、重さもやや重くなり、反発力も減少することから、胸部に受ける衝撃は、ゴム製ボールより大きくなるものと予測されますので、バスケットボール関係者、指導者の方は十分な注意と、万一「心臓震盪」が発生した場合の対応や、心肺蘇生法などの「BLS(Basic Life Support:一次救命処置)」を習得することを強くお勧めします。
「心臓震盪」に関する詳細については「心臓震盪から子供を救う会」のHP http://www.chuobyoin.or.jp/shinzou-shintou/ をご参照下さい。

AED(自動体外式除細動器)とは

治療に使用します。小型で持ち運びができます。器械が自動的に電気ショックが必要か判断します。数時間の説明を受けるだけで簡単に使用できます。(値段は20数万円から50万円くらいで、レンタルもあります。119番通報してから救急隊が現場に着くまで6分くらいかかります。心室細動に対する除細動治療が1分遅れるごとに約7-10%治療成功率が低下します。また、心臓停止時間が5分以上になると、意識の回復が難しくなり社会復帰することができなくなります。従って、現場にいる人が直ちに除細動を実施することが必要なのです。(写真は日本光電のAED)