「心臓震盪」により心臓に発生した心臓のケイレン、「心室細動」を除去するのに最大かつ唯一の手段は除細動器による「電気的除細動」です。日本では、以前は、医師・救急救命士のみに除細動の実施が認められていたが、2004年7月、厚生労働省から「緊急性があり医師がいないなどの条件を満たした場合は、一般市民が除細動を実施しても医師法違反とはならない」旨の見解を示す通知が発出されました。これは、心室細動では心停止から除細動を行うまでの時間が生命予後を決定するという研究結果を踏まえたものであり、事実上、一般市民へ除細動の実施が解禁されたことになりました。法令面(ソフト面)では除細動普及の条件が整備されましたが、空港をはじめとする公共施設などへの自動体外式除細動器の設置、すなわちハード面での整備促進が遅れており、今後の課題とされております。
アメリカでは、心電図波形などの解析や充電を自動的に行う、「自動体外式除細動器(AED)」が広く普及し、一般市民の使用により「心臓震盪」に大きな効果を上げています。
一番ベストなのは、運動場や体育館はもちろん、全てのスポーツ団体が「AED」を配備することなのですが、それが実現するまでの間、もし「心臓震盪」に遭遇したら、いったいどうしたらいいのでしょうか?
残念ながら,「AED」が市民に開放されていない現在の状況下では,いち早く、119番通報し、除細動器を携帯した救急隊の到着までの間,心肺蘇生法(CPR)を実施することしか、今のところ手段はありません・・・・ですから、今は「心臓震盪を予防」することが大切です。
現在、国内の大手スポーツ用品メーカーの「MIZUNO」では、胸部を保護する運動用プロテクターを開発中です。実用化され次第,こういった防具を使用したり、野球の練習でよくやるような「1000本ノック」や子供めがけてバレーボールやバスケットボールなどをぶつけたりするような、昔ながらの過酷な練習は避けるべきです。
とかく大人達は「勝利至上主義」に陥り,「スパルタ式」を強要しますが、この「勝利至上主義の
無意味なスパルタ式指導」が「心臓震盪」を生み出す土壌になっているのではないかと言われております。
スポーツ本来の目的は、子供達が楽しく、生き生きとスポーツに打ち込み,その中から何かを見つけ出し成長していくことだと思いますし,そういう環境でスポーツに打ち込ませてあげることこそが、我々「大人」の責任なのではないでしょうか・・・・
アメリカでは2001年に128例の「心臓震盪」が発生していますが、その発生要因は、そのほとんどが18歳以下であり、小中学生に多発していますが、これは胸郭が未発達なことも要因のひとつです。
バスケットボールはルール改正により、「ミニバス」ではゴム製ボールから皮革製ボールに変わります。皮革製ボールはゴム製に比較すると、重さもやや重くなり、反発力も減少することから、胸部に受ける衝撃は、ゴム製ボールより大きくなるものと予測されますので、バスケットボール関係者、指導者の方は十分な注意と、万一「心臓震盪」が発生した場合の対応や、心肺蘇生法などの「BLS(Basic
Life Support:一次救命処置)」を習得することを強くお勧めします。
「心臓震盪」に関する詳細については「心臓震盪から子供を救う会」のHP http://www.chuobyoin.or.jp/shinzou-shintou/ をご参照下さい。
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