知っていますか「メタボリック症候群」について

知っていますか「メタボリック症候群」について

(時事通信)4月17日、に「要注意!ウエスト80センチ=肥満児2割が内臓器脂肪症候群−厚生労働省」と題して、「心筋梗塞(こうそく)などにつながる「メタボリック症候群」(内臓脂肪症候群)を小児期から予防するため、厚生労働省研究班(主任研究者・大関武彦浜松医科大教授)が4月17日までに、暫定的な診断基準を策定した。
「ウエスト80センチ以上」などの条件を満たした場合としており、さらに検証し、正式な基準を確定させる。
メタボリック症候群は内臓脂肪型の肥満で、血圧や血糖などが高い状態。
放置すれば心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まる。
日本内科学会や動脈硬化学会などが昨年、成人の統一診断基準を作成している。」と掲載されました。

最近よくとりあげられる「メタボリック症候群」とは 

メタボリック症候群になると、普通の人とくらべて血液が固まり易くなり、血管が詰まる事によって起こる疾患の危険性がふえます。
脳の血管が詰まる「脳梗塞」。心臓の冠状動脈が詰まる「心筋梗塞」。
また、血液中で血糖を下げるインスリンの効きめを妨げる物質が増加しています。
それに加えて血圧を上げる作用がある物質、血管に作用する物質、血液を固まり易くする作用がある物質が増えることになります。
見た目は同じ脂肪細胞でも内臓脂肪は、皮下脂肪と較べて、これらの悪玉物質をより多く作ります。
悪玉物質の作用は一言で言えば「糖尿病」になり易く、「動脈硬化」を促進して血管を詰まり易くすることです。
健健康診断で異常なしと言われても「腹囲増加」「体重増加」「血圧高」はメタボリック症候群。死の四重奏と言います。
恐ろしいネーミングですが、「肥満」+3高(高血圧・高血糖・高脂血症)をあわせたものを呼びます。これら、一つひとつは重病とはみなされませんが、これらを組み合わせるとメタボリック症候群という恐い病気となります。
40歳以上の男性では4人に1人に見られる病気で、最近増加傾向にあります。現在、 @体重が増加中Aおなかまわりが増してベルトの穴の位置が変わったB健康診断で血圧が高めと言われたC健康診断で糖尿病の疑いがあると言われたD健康診断で中性脂肪が高いと言われたE健康診断で善玉コレステロールが低いと言われたF禁煙しようと思うが喫煙をやめられない。これらに複数あてはまる方は要注意。メタボリック症候群の疑いがあります。

メタボリック症候群の定義、「○○症候群」には基準(定義)があります。
メタボリック症候群は、アメリカ、ヨーロッパ、WHO:世界保健機構が定めた5項目の定義があり日本でも、日本動脈硬化学会、日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本循環器学会、日本腎臓病学会、日本血栓止血学会、日本肥満学会、日本内科学会の委員で構成される「メタボリックシンドローム診断基準検討委員会」がメタボリックシンドロームの診断基準を発表しています。
内臓脂肪蓄積の目安になるウエストのサイズを基準の第一条件にした点が注目点です。

1、中心性肥満:大きなおなかの腹囲(高いBMI・内臓肥満・内臓脂肪)

2、高血圧:正常高血圧または高血圧(治療中のものを含む)正常血圧は、収縮期血圧(最高)130mmHg未満、拡張期血圧(最低)85mmHg未満。収縮期血圧が130mmHg以上、拡張期血圧が85mmHg以上は血圧に異常がある事になる。高血圧治療中で降圧剤服薬中の場合は、血圧異常がある事になる。

3、高血糖:血糖を下げるインスリンの効きが悪い。糖代謝に関して、空腹時血糖の基準値は110mg/dL未満です。空腹時血糖が110mg/dL以上だと糖代謝異常がある事になります。糖尿病の薬物治療中の場合は糖代謝異常がある事になる。

4、脂質異常:高中性脂肪血症

5、脂質異常:低いHDLコレステロール血症

血中脂質(脂質代謝異常)に関して、中性脂肪(トリグリセリド)とHDLコレステロール(善玉コレステロール)について基準があり、トリグリセリドが高いと異常で、一方、HDLコレステロールが低いと異常です。
トリグリセリドの値は150mg/dL以上が高トリグリセリド血症で、HDLコレステロールの値は40mg/dL未満が低HDLコレステロール血症です。
高トリグリセリド血症、低HDLコレステロール血症、どちらかの異常があると脂質代謝異常があることになる。
高トリグリセリド血症があり薬剤治療中の場合、低HDLコレステロール血症があり薬剤治療中の場合、脂質代謝異常がある事になる。
以上、5項目中で3項目以上当てはまればメタボリック症候群(シンドロームX・死の四重奏・内臓脂肪症候群・マルチプルリスク症候群とも呼びます)となります。
日本版メタボリックシンドロームの診断基準では、以上の5項目とウエスト周囲径:男性85cm以上・女性90cm以上を診断基準としています。
ウエスト測定は、立った状態で軽く息を吐き、巻き尺でおへその高さでウエストを測定します。
血中脂質と血糖については空腹時に採血しないと検査できませんが血圧測定は家庭でも可能です(血圧計が必要です)。
諸悪の根源は内臓脂肪にあり。
巻き尺でウエストの測定からはじめてみましょう。
腹囲を減らす事は内臓脂肪を減らす事を意味します。
頑張って腹囲を減らしましょう。